日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
動脈壁の微小振動の非侵襲的高精度計測による局所弾性特性の評価
長谷川 英之金井 浩中鉢 憲賢小岩 喜郎
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1997 年 53 巻 5 号 p. 346-351

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抄録

筆者らは動脈硬化の早期段階での非侵襲的診断を目指している。動脈硬化は早期段階では無兆候性で病変部位も数mm〜十数mmと小さいため, 局所における診断が必要となる。しかし従来の診断法では十分な空間分解能が得られず, また患者への負担が大きく反復診断が困難であるなどの理由により動脈硬化の早期診断が難しい。そこで, 本研究グループでは動脈を伝搬する脈波の速度と動脈壁の円周方向の弾性的特性との関連性に着目し, 超音波を用いて局所2点間の脈波速度を計測することにより動脈壁弾性特性の評価を行ってきた。本稿では, 超音波を用いて動脈壁の内膜側, 外膜側での径方向の微小振動速度波形を前壁, 後壁で同時に計測し, 動脈内腔の直径の時間的変化と動脈壁厚の時間的変化を数十μmから数百μmの精度で算出することにより動脈壁のポアソン比を評価する新しい手法を提案する。また, ヒト腹部大動脈で計測を行った結果を示す。

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© 1997 一般社団法人 日本音響学会
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