日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
MIDIドラムによる基礎的演奏を対象とした意図楽譜の事後確率最大化推定法
小西 夕貴三浦 雅展
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 69 巻 3 号 p. 96-105

詳細
抄録

MIDIドラムによる人間の演奏(演奏情報)から,奏者が意図した楽譜を推定する手法を提案する。MIDIクオンタイズによって演奏情報を正規化すると,必ずしも奏者が意図した楽譜が得られないという問題があった。そこで提案手法では,演奏情報とデータベースに含まれるドラムパタンのマッチングを行うことにより,それらの時刻誤差を確率として表し,算出した事後確率が最も高いドラムパタンを奏者が演奏した楽譜として推定する。また,事前確率を算出するため,演奏の特徴を表すEigenphrase of drumsを用いてパタン間の距離を算出し,それに基づいてデータペースに格納された出現頻度のスムージングを行う。10名の奏者による演奏を記録し,指定された楽譜とそれに対する推定楽譜のF値を算出した結果,プロ奏者の演奏では0.92,アマチュア奏者の演奏では0.86という値が得られた。よって,提案手法では従来のMIDIクオンタイズと比べて時刻ずれに頑健な楽譜推定を行うことができることが示された。

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本音響学会
次の記事
feedback
Top