日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
原著
災害時に備えたオストメイトへの支援対策―市町村とストーマ用品販売店の現状調査―
近藤 恵子
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 39 巻 2 号 p. 21-33

詳細
抄録

【目的】災害時に備えたオストメイトへの支援対策を検討するために、長野県の市町村とストーマ用品販売店(以下販売店)の現状を明らかにする。

【方法】長野県内の77市町村と販売店7ヵ所を対象として、郵送法にてアンケート調査を行った。

【結果】アンケート回収数は、市町村32ヵ所(41.6%)、販売店6ヵ所(85.7%)であった。96.9%の市町村が福祉避難所の存在を知っていたが、71.9%は福祉避難所と防災関連の話し合いを行っておらず、53.1%は福祉避難所による避難訓練に参加していなかった。市町村の3.1%しかストーマ用品を備蓄しておらず、オストメイトに備蓄を期待し、84.4%はストーマ用品セーフティーネット連絡会(以下連絡会)の存在を知らなかった。病院や市町村と連携していた販売店はそれぞれ66.7%、50%であり、連絡会の存在を知っているのは半数であった。災害時のオストメイトの問い合わせ先は、市町村も販売店も様々な理由で様々な施設を挙げ、異なっていた。市町村はオストメイト対応の相談窓口を、販売店はWOCN所属施設を知りたいと要望していた。また、すべての販売店は、その情報に関する地図を必要と回答した。

【結論】災害時のオストメイト支援に必要な市町村と福祉避難所の連携および市町村、販売店、WOCNの連携や共通認識が未だ不十分であることが明らかとなった。

著者関連情報
© 2023 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top