日本音響学会誌
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Print ISSN : 0369-4232
論文
話者の匿名性の確保を目的とした声道長の制御を模した声質変換の評価
内田 照久
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2017 年 73 巻 3 号 p. 151-162

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抄録

話者の匿名性確保を目的とした声質変換の応用可能性を検証した。スペクトル周波数軸の伸縮によって声道長操作を模した変換音声を評価した。(1)声の自然性は声道長に対して放物線状に変化した。男声・女声ごとに最も自然に感じる声道長の存在可能性と共に,変換範囲の周縁部での品質低下が指摘された。また,声道長に比例する形で大柄な話者が想起された。なお,F0は同一でも,声道長が長いと声は低く認知された。(2)声道長を変えると別の人の声として認識され,逆に別人の声でも声道長を揃えると混同された。(3)変換音声による英語リスニングテストの成績は,標準的なテストの成績とほぼ遜色ないが,更なる品質向上が求められる。

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© 2017 一般社団法人 日本音響学会
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