2022 年 78 巻 7 号 p. 355-364
本論文では,騒音検出マイクロホンに混入する拡散性雑音によって生じるバイアス誤差の補正法の一つを提案する。学習同定法の1次巡回型フィルタ表現によれば,拡散性雑音は同フィルタの振幅利得を1未満とし,その結果として騒音制御フィルタの係数が真値より小さくなる現象としてバイアス誤差が説明される。同表現によれば振幅利得は1次騒音と拡散性雑音のパワーからなる。しかし,その両パワーを分離して観測することは現実には難しいことから,本論文では事前に測定した1次系のパワー利得から振幅利得が計算できることを示す。この振幅利得を使って騒音制御フィルタの係数を補正すれば,バイアス誤差によって低下した騒音低減効果は改善される。