発話速度(話速)は音声の聞き取り易さに影響を及ぼす主要な要因であるが,これまで日本語での日常会話について大規模な調査がなされていない。そこで本研究では,国立国語研究所「日本語日常会話コーパス」(CEJC)を用いて,日常会話音声の話速の分析を行った。その結果,日常会話の平均的な話速は,テレビニュースの話速よりもやや遅い約8拍/秒であることが明らかとなった。性別・年代及び会話形式別に分析すると,女性よりも男性の話速が速く,また会議よりも雑談での話速が速かった。一方,話者の年代の効果は雑談にのみ見られ,20代に比べて60代以上の話速が遅かった。ただし,用談と会議では,そのような傾向は見られなかった。