学校メンタルヘルス
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ショートレポート
小中学校教師の離職意思と離職への影響因子に関する検討
小橋 繁男
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2012 年 15 巻 2 号 p. 278-285

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抄録

本研究の目的は,小中学校教師における離職意思の実態把握および離職への影響因子を探り,離職傾向軽減のための予防的な方法を調べることであった。小学校教師71名と中学校教師99名の有効回答を得ることができた。離職への影響因子については,離職意思「あり」と回答した67名について因子分析し「子ども・保護者との人間関係」「労務環境」「教職への不安傾向」の3因子を抽出した。

そこで,離職意思「あり」と回答した教師による下位尺度ごとの違いを検討すべく,抽出された3因子の各因子得点を従属変数とし,独立変数を離職意思(いつも思っている・どちらかというと思うことが多い)×下位尺度(人間関係・労務環境・不安傾向)の二要因分散分析を行った結果,労務環境が子ども・保護者との人間関係,教職への不安傾向よりも有意に高く,また,教職への不安傾向よりも子ども・保護者との人間関係の方が有意に高いという結果を示した。また,離職意思について,「いつも思っている」方が「どちらかというと思うことが多い」と比べて,離職意思尺度の得点も有意に高いことが示された。

以上の結果から,教師の離職傾向の予防を図るためには,まずは職場の労務環境をよりよくしていくとともに,子どもに対する教育指導をよりよく行える環境や教師自身の力量形成が図られる環境を組織的に整えていくことが望まれる。

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© 2012 日本学校メンタルヘルス学会
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