学校メンタルヘルス
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Print ISSN : 1344-5944
原著論文〔実践研究〕
発達障害児の母親における教育観形成プロセスの検討―学級担任教師との関係に着目して―
金子 なおみ堀 正士
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2014 年 17 巻 1 号 p. 27-38

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抄録

【問題と目的】通常学級に在籍する発達障害児の支援において,学級の担任教師と保護者(母親)の連携は不可欠であると言われている。しかし,教師が母親との連携を促進させることは容易ではない。その要因は,母親の我が子に対する教育観が,教師から見て捉えにくいことにあると考えられた。そこで本研究では,発達障害児の母親の教育観の形成プロセスを明らかにし,教師母親間の連携を促進する要因と阻害する要因を検討することを目的とした。

【方法】通常学級に在籍する発達障害児の母親9名を対象に,半構造化面接を行った。面接で得たデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。

【結果】母親の教育観の形成プロセスには,学習面では特別な配慮を求め,学習面以外では他児と同等の扱いを求める〔両価的なニーズ〕が特徴として見出された。〔両価的なニーズ〕に対応しない教師が登場すると,母親は教師との齟齬を生じさせ,教師との関係を悪化させるとの仮説が生成された。

【考察】〔両価的なニーズ〕を巡る教師母親間の齟齬が生じる要因において,母親の〔両価的なニーズ〕を求める各場面と,教師の実践する各場面が逆であることが考えられた。すなわち,母親が学習場面で特別な配慮を求めるのに対し,教師は他児と同等の課題を課し,母親が学習以外の活動場面で他児と同様の扱いを求めるのに対し,教師は特別な配慮を示すのである。双方のニーズと実践にズレが生じる背景として,教師には指導の公平性に対する責任と,集団での道徳教育への志向があり,母親には成功体験の重視と子の劣等感への不安があると考えられる。教師が母親との連携を促進するために①個別の配慮について母親と具体的に話し合う②子の成功体験を増やすための方策を提案する③子の失敗体験後のフォローについて具体的に相談し合う,以上3点を提案する。

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© 2014 日本学校メンタルヘルス学会
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