学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
原著論文
小学生の対人葛藤解決方略とQOL―授業中の意見相違場面に焦点をあてて―
鈴木 伸子松本 真理子坪井 裕子野村 あすか垣内 圭子大矢 優花畠垣 智恵森田 美弥子
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2014 年 17 巻 2 号 p. 152-161

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抄録

本研究の目的は,授業中の意見相違場面に焦点をあて,小学生の対人葛藤解決方略をQOL(Quality of Life)の観点から検討することであった。小学4年生,6年生計421名(男子202名,女子219名)を対象に質問紙調査を行った。

はじめに,解決方略により児童を類型化した。クラスター分析の結果,解決重視群,対話重視群,他者変化志向群,自己抑制群,消極的解決群の5群を抽出した。つぎに,この5群によるQOLの違いを検討した。各群を独立変数,「小学生版QOL尺度」の「QOL総得点」と5つの下位領域得点を従属変数とする1要因分散分析を行った。

主な結果は以下の通りであった。

1)「QOL総得点」と3つの下位領域得点(情緒的Well-being,友だち,学校生活)において群の主効果が認められた。

2)対話重視群は,「QOL総得点」と「情緒的Well-being」が解決重視群,他者変化志向群,自己抑制群より高く,「友だち」と「学校生活」が解決重視群より高いことが明らかになった。

3)解決重視群は,「情緒的Well-being」に加え「友だち」と「学校生活」の低さが示された。

これらの結果から,小学生の授業中の意見相違場面における葛藤解決方略とQOLには関連のあることが示唆された。

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© 2014 日本学校メンタルヘルス学会
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