学校メンタルヘルス
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資料論文
大学生における過剰適応と怒り感情,及びキレ衝動との関係について
竹端 佑介
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2015 年 18 巻 2 号 p. 123-131

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抄録

本研究では,(1)過剰適応を構成する因子が,怒り感情の表出を抑え,コントロールしている,(2)表出されない怒り感情が内側に溜められることで,キレ衝動を高めるという2つの仮説検証を行った。そのために,大学生を対象とした質問紙調査を実施した。

分析は,共分散構造分析を行った(N=358)。その結果,過剰適応を構成する因子の中でも“自己犠牲”や“感情抑制”は,“怒り感情抑制”からキレ衝動への直接的な正の影響を示した。また,他者との関わりを重視する“人からよく思われようとする”因子と,“劣等意識”は“内的怒り感情”からキレ衝動へ有意な正の影響を示した。

このことから,過剰適応者は一見して怒り感情が抑制されていながらも,その内面では,他者には見せない怒りの感情を溜めている可能性があり,それによりキレ衝動を強めることになることが示唆された。

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© 2015 日本学校メンタルヘルス学会
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