学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
18 巻 , 2 号
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総説
  • 山田 達人, 桂川 泰典
    2015 年 18 巻 2 号 p. 112-122
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    【問題と目的】行動分析学に基づいた集団指導の方法に集団随伴性(依存型・相互依存型・非依存型)の適用が挙げられる。しかし,学級集団に対して集団随伴性を適用するにあたり,いくつかの問題点が推察される。本稿では,学級集団でより多くの子どもに効果が期待される集団随伴性の適用方法を整理し,集団随伴性を適用した学級介入の研究動向を概観した。

    【方法】学級集団を対象とした集団随伴性の研究について,1995年から2014年に出版された論文(英文・和文)を学術論文データベースより抽出した。抽出された論文からカテゴリーの生成を行った。

    【結果】17本の英文,6本の和文の論文が抽出された。その中から,2つの大カテゴリー(論文の基本情報・集団随伴性の適用方法)が生成された。論文の基本情報は,「対象」,「集団随伴性の分類」など,4つの中カテゴリーが生成された。集団随伴性の適用方法は,「期待される結果の機能」,「強化のタイミング」など,5つの中カテゴリーが生成された。各中カテゴリーは,2つから3つの小カテゴリーが生成された。

    【考察】集団随伴性の適用に関する動向を概観した。学級集団に集団随伴性を適用する場合,相互依存型の集団随伴性が用いられることが多く,学校場面で受け入れやすい介入方法であることが窺われた。そのため,集団随伴性に基づいた介入を行う上で生じる問題点について,相互依存型集団随伴性を中心に検討した。

資料論文
  • 竹端 佑介
    2015 年 18 巻 2 号 p. 123-131
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    本研究では,(1)過剰適応を構成する因子が,怒り感情の表出を抑え,コントロールしている,(2)表出されない怒り感情が内側に溜められることで,キレ衝動を高めるという2つの仮説検証を行った。そのために,大学生を対象とした質問紙調査を実施した。

    分析は,共分散構造分析を行った(N=358)。その結果,過剰適応を構成する因子の中でも“自己犠牲”や“感情抑制”は,“怒り感情抑制”からキレ衝動への直接的な正の影響を示した。また,他者との関わりを重視する“人からよく思われようとする”因子と,“劣等意識”は“内的怒り感情”からキレ衝動へ有意な正の影響を示した。

    このことから,過剰適応者は一見して怒り感情が抑制されていながらも,その内面では,他者には見せない怒りの感情を溜めている可能性があり,それによりキレ衝動を強めることになることが示唆された。

  • 岡田 佳子, 高野 光司, 塚原 望
    2015 年 18 巻 2 号 p. 132-146
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    【問題と目的】本研究では,対人関係に困難を抱えている中学生を対象としたソーシャルスキルトレーニングの一環として,感情の自己理解を深めることを目的とした心理教育プログラムを開発することを目的とした。

    【方法】8つの下位目標を設定し,下位目標と対応させて全部で5回のプログラムを作成した。プログラムの参加者は,対人関係に苦手意識を持つ中学生10名(男子5名,女子5名)であった。10名の中には専門機関で高機能自閉症,アスペルガー症候群やAD/HDなどの診断を受けている者も含まれていた。プログラムは男女別々に実施された。プログラムの効果を検討するために,情動知能,心理的ストレス反応の測定およびふりかえり用紙を用いた自由記述の収集が行われた。

    【結果】情動知能では,対応のあるt検定の結果「私は何か起こった時に,自分がどうしてそんな気持ちになったのか,たいてい理由がわかる」,「私は,自分自身の気持ちをコントロールするのが上手だ」の2項目において実施前に比べて実施後の方が得点が有意に高くなっており,中程度の効果量が示された。また,心理的ストレス反応では,対応ありの1要因分散分析の結果,「怒り」と「不安」でプログラム1回目に比べてプログラム4回目のストレス得点が低減している傾向があることが示された。

    【考察】(1)「プログラムによって感情の自己理解が深まる効果」,およびプログラムの派生的な効果としての(2)「他者の感情理解に及ぼす影響」,(3)「感情のコントロールに及ぼす影響」,(4)「ストレス反応の低減に及ぼす影響」の4点を検討した。(1)(3)(4)については,プログラムの効果を積極的に示すには至らなかったが,部分的に支持する結果が得られた。(2)については,感情の自己理解プログラム単体では他者の感情理解に対しては効果が得られないことが示唆された。これより,本プログラムで目標とした感情の自己理解の力を他者理解や対人場面でのスキルに生かしていくためには,自己の感情理解をベースに他者理解やソーシャルスキルのプログラムを組み合わせて実施していく必要があることが示された。一方,本研究の課題として,本研究は参加者が少ないため結果の解釈は慎重にならなくてはならず,今後も実践を繰り返してプログラムの効果検討と改善を行う必要があるだろう。

ショートレポート
  • 鈴木 美樹江, 窪田 由紀, 松本 真理子, 坪井 裕子, 森田 美弥子
    2015 年 18 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では,小学校高学年児童を対象とした心の減災教育プログラムの妥当性を検証するために,呼吸法対処効力感,認知の修正,対人的信頼感の関連について検証することを目的とした。

    【方法】小学5, 6年生を対象として,心の減災教育プログラム実施前後に質問紙調査を行い,呼吸法対処効力感,認知の修正,対人的信頼感について225名のデータを分析した。

    【結果】事後調査において,呼吸法対処効力感は認知の修正に有意な正の影響を与え,認知の修正は対人的信頼感に有意な正の影響を与えていた。対人的信頼感は呼吸法対処効力感と認知の修正に有意な正の影響を示していた。

    【考察】本結果より,生理学的側面からのセルフコントロールである呼吸法対処ができるという自信が,認知的側面からのセルフコントロールである認知の修正を促し,この認知の修正が対人的信頼感に寄与できたと考えられる。また,対人的信頼感が向上することで,呼吸法対処効力感や認知の修正をもさらに促進していることが明らかとなり,心理教育プログラムの妥当性が支持された。

  • 橋口 誠志郎
    2015 年 18 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    【目的】小学生を対象に共同体感覚と生活満足感の関連を検討することを目的とした。

    【方法】調査協力者はA県にある公立小学校の3年生から6年生の児童322名(男性166名,女性156名)であった。使用した尺度は共同体感覚尺度と生活満足感尺度であった。

    【結果】共同体感覚的自己スキーマを独立変数,共同体感覚的他者スキーマを媒介変数,生活満足感を従属変数とした媒介分析を行った。bootstrap法を用いて間接効果の検定を行った結果,共同体感覚的自己スキーマは共同体感覚的他者スキーマを媒介して生活満足感と正の関連をすることが示された(z=6.26, p<.001, 95% CI [0.30, 0.57])。

    【考察】共同体感覚的自己スキーマは共同体感覚的他者スキーマを媒介して生活満足感と正の関連を示すことが示唆された。

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