学校メンタルヘルス
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東日本大震災(2011)で被災した子どもに対する野外教育活動による子どもの変化に関する研究
早川 惠子小林 正幸霜村 麦副島 賢和大熊 雅士
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2016 年 19 巻 2 号 p. 182-191

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抄録

【目的】本研究の目的は,2011年の東日本大震災で被災した子どもを対象としてレジリエンスの向上とストレス反応の低減を目的とした野外教育活動による子どもの変化を明らかにするためのものである。

【方法】2012年7月に野外教育活動への参加を希望する129名の子どもの保護者に対して,震災時の被災状況とストレス反応を含む質問紙調査を実施した。8月にこれらの子どもたちは,レジリエンスの向上とストレス反応の低下を目的とした野外教育活動に1~2回参加した。半年後,フォローアップ野外活動が実施された。

【結果】(1)ストレス反応を調べた項目の因子分析の結果,3因子(「不安と甘え」「怒り」「よい子」)が抽出された。(2)夏の活動以降6カ月時点で,30名の参加者の「怒り」因子が有意に低下した。(3)自由記述に回答した保護者の30名中25名全員が夏の活動以降子どもの行動が望ましい方向への変化を報告したことが示された。

【考察】上記の結果から,野外教育活動が子どものストレス反応の減少に有効である可能性が示唆された。野外教育活動のどのような構成要素が効果的であるのかについて論じられた。

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© 2016 日本学校メンタルヘルス学会
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