2025 年 28 巻 2 号 p. 201-209
【問題と目的】1994年のサラマンカ宣言以降,多様な教育的ニーズを持つ生徒を通常の学級に含めるインクルーシブ教育について多様な議論が各国においてなされ,我が国においても,特別支援教育がスタートし,それまでの特殊教育の対象ではなかった発達障害のある児童生徒への適切な指導,支援も対象となった。一方で,発達障害のある児童生徒への指導の困難感やストレスも報告されている。特にASDの児童生徒への指導に起因する教員のストレスが予想され,その支援および心理プロセスの解明が求められる。本研究では,ASD特性のある生徒を指導する中学校通常の学級教員のストレスが生起するプロセスを明らかにすることを目的とした。
【方法】中学校通常の学級において,ASD特性のある生徒を指導する教員4名を対象とし,半構造化面接を行った。分析はM-GTAによる質的な分析を行った。
【結果】分析の結果,23の概念から7のカテゴリーが生成された。ASD特性のある生徒を指導する中学校通常の学級教員のストレスが生起するプロセスは,特性への丁寧な対応に起因する時間的プレッシャー,障害の有無にかかわらない支援と個別支援に起因する通常の学級における困難,ASD特性に起因する困難の3つのプロセスを辿ることが明らかとなった。
【考察】通常の学級教員が日常的に特別支援教育への助言や支援を受けるための制度設計や通常の学級におけるコンサルテーションの拡充,教員を対象としたストレスマネジメントスキルの研修が求められる。