抄録
昨今、情報通信技術の進化に伴って、企業は「個客」レベルでの繊細かつ機動的な戦略対応が要請されている。本研究は、心理学における「相互作用論」という運動論的視点をキー・コンセプトとし、顧客情報の分析(顧客の理解・識別)手法及び顧客情報の活用(接触・育成・囲い込み)手法における新たな方法論を構築する点にある。その際、従来からマーケティングターゲットとされてきた「オピニオンリーダー」概念の単なる援用ではなく、それを「相互作用」概念と接合させながら、新たな顧客データベースのあり方を模索する研究方略をめざす。なお、相互作用論とは、個人の行動が、個人の性質と状況の特質との双方向的・力動的な相互作用の結果であるとする、パーソナリティ研究の包括的な枠組みを発展させることを目的とした理論である。