抄録
情報機器の利用に関しては人々の間に大きな差がある.本発表では,情報に対するアクセスの程度によって生じる貧富の格差(デジタル・デバイド)を,ケーパビリティ論の立場から検討する.情報機器を利用できる能力を示す指標をDDI(デジタル・デバイド・インデックス)とし,HDI(人間開発指標)との比較を念頭におき,できるだけ同じデータ・計測方法を用いる.推計結果の一般的な傾向として,まず,HDI上位20カ国とそれ以外の国々の間で,DDIに大きな開きがある.しかも,上位20カ国の間でのDDIの格差はかなり大きい(0.5_から_0.7).それ以外の国は,DDIが0.2_から_0.4に集中するが,HDIとDDIの間に相関性は低い.情報関係のデータを,特に低所得国では得難いので,検討できなかったサブ指標もあり,比較の基盤設定が困難であるだけでなく,推計法,代替データの利用などに改善・工夫の余地ある.