情報流通の高度化とともに、情報活用能力を高めたITユーザ企業やユーザ自身がイノベーションの主導権を握るケースが登場してきた。その状況を食の安全実現の手段として期待されているトレーサビリティを例に分析する。トレーサビリティ・システムは、サービス・イノベーション実現のプラットフォームになりうるとの認識の元に、(1)先進的実証実験の分析、(2)トレーサビリティ・システムがセミクローズ・システム(オープン・システムとクローズ・システムの組み合わせ)によって生産履歴情報・流通履歴情報のみならず、食を楽しむ情報提供などまで含んだサービス・イノベーションに向けて進展しつつあることを述べる。