2005年4月に発生した福知山線脱線事故は、その被害の大きさのみならず、技術的未熟ではなく、マネジメントの瑕疵による重大事故という意味で、衝撃的な事故であった。本研究では、この種の組織事故に対しては、どのような教育体制が最も有効かを、各エージェントが階層的メンタル・モデルを持ち相互作用によってメンタル・モデルが書き換えられる学習過程を盛り込んだ、エージェント・ベース・ボトムアップ・アプローチによって検証する。しかしながら、各学習過程では、エージェント同士の相互作用が発生するため、事前に、学習の有効性を判断することは難しい。そこで、本研究では、エージェント・ベース・シミュレーションを用いる。