製品の適正な在庫水準の維持は,製造業者にとって経営上重要な課題となっている。適正在庫水準を実現する生産計画の立案には,製品の正確な需要予測が必要となる。市場投入後間もない新製品に関しては,統計的予測手法の適用が困難であり,普及モデルによる予測が有効である。しかし,予約販売や先行販売のように,通常の製品普及とは異なる販売が行われた新製品では,普及モデルを用いても高い予測精度は得られない。本論文では,予約・先行販売のある新製品にも対応した,時差とバイアス項付き改良型普及モデルを提案する。実際の新製品の実績データを用いた予測精度の評価実験の結果,改良型普及モデルが従来の普及モデルよりも高精度で予測できることを確認した。