抄録
本研究は浜松ホトニクス株式会社のストリークカメラの事業化および「産業創成」において重要である新しい技術が新しい応用へ如何に展開するかというプロセスに関する事例研究である。
ストリークカメラは非常に短い時間の光現象を捉えることができる光検出器であり、今日の光通信、有機EL材料の技術開発を支える計測装置の一つである。しかし、当初ストリークカメラは学術的な基礎研究のために開発され使用されてきた。基礎研究市場から技術開発市場へストリークカメラがどのように普及していったかを、浜松ホトニクスが行ってきたストリークカメラに関する学術報告やプロモーション資料等の変化を整理することにより考察を行った。
考察の結果「探索的活動」、「ユーザーとのコミュニケーション」、「組織内の情報共有」の重要性を見出し、さらにロジャースやムーアの先行研究の知見を用い上記の3つの要因について検討を行った。