ソーシャルメディアの利用者が死亡した場合、そのアカウント情報およびそれまでに投稿され蓄積された情報はどのように扱われるべきか。銀行口座やクレジットカードなどと異なり、ソーシャルメディアでは他者との関わりという情報の扱いについても注意が必要である。ソーシャルメディア利用にあたってはクレデンシャル情報、プロフィール情報、友人への公開情報、ソーシャルグラフなど、多岐にわたる情報が存在し、それぞれ公開範囲も異なっている。本稿では、死亡した利用者の個人情報だけでなく、文脈を逸脱した開示というプライバシーという観点に踏み込んだ上で、それをどのように扱うべきか、要件の整理を試みる。