抄録
デジタル技術の進展に伴い従来の産業構造が変化している。この変化を捉えるために先行研究では、レコード産業を対象にデジタル録音技術が形成する2つの道筋と同産業の進化モデルの第四段階を示した。デジタル技術は既存市場の最盛期を牽引したが、他方で個人制作やDIY的生産活動の顕在化を招いた。進化の第四段階では制作・管理機能が一部で統合化するが、他方で生産消費者の制作物が従来型の管理層を必ずしも必要とせず流通小売プラットフォーム上に登場し得ると指摘された。本報告は、この進化モデルについて他のメディア・コンテンツ産業や情報産業などへの応用可能性や一般化可能性を検討するために、産業構造論や産業組織論の観点から考察する。