抄録
受注生産を行っている中小製造業では、原価の見積りと実績の差が大きいことが問題となっている。受注ごとに毎回製造するものが異なるため、図面を基に使用設備を想定し原価を見積もる。この際、中小企業では見積り基準やルールがない場合が多く、原価の算出は担当者の属人的なノウハウに依存している。このため見積り結果は見積り担当者によって偏りが存在すると考えた。ある中小企業の協力を得て見積りと実績の誤差率を計算したところ,平均誤差率29.7%,標準偏差109.1,最大誤差率1820%,最小誤差率-36.6%であり,差異のばらつきが大きいことが確認された。今後、見積りと実績の差異を詳細に分析し見積り精度改善につなげていく予定である。