抄録
市場でトップのシェアを誇る優良企業が,性能の劣る破壊的技術による価値基準の変化に対応できず,市場での優位を失う現象をイノベーションのジレンマという.その原因としてはバリューネットワークと企業が観察することのできない消費者の製品機能に対する選好の不確実性が挙げられているが,その仮説の定量的な検証は不十分である.
そこで本研究では,イノベーションのジレンマのプロセスを企業や消費者の自律的な意思決定の表現が可能なエージェントベースモデルを用いて再現し,イノベーションのジレンマの2つの原因に関する仮説の検証を行う.またその効果を分析することで,優良企業が市場で優位を失わない対策を考察する.