本論文はICTシステムの安全性を高める方法論を提案する。システムの安全性を高めるためには現行の方法論の大勢を占める要素還元主義的アプローチに加えより全体的な視点を有する方法論が必要である。ヒューマンエラーはICTシステムだけでなく社会システム(原子核施設、輸送システム等)にも重大な影響を及ぼす。ICT技術の進化はシステムを複雑化する方向にシフトさせている。この傾向に対応して安全性を高めるにはICTシステムと人間の創発的な相互作用を取り扱う必要がある。本論文ではシステムの失敗を管理し全体的な視点を確保するヒューマンエラー・フレームワークを導入しヒューマンラーに適用する事で本方法論の有効性を示す。