抄録
取引費用理論、エージェンシー理論、所有権理論からなる新制度派経済学は、わが国では80年代から90年代にかけて、海外進出時の企業形態、系列、アウトソーシング、コーポレートガバナンスなど企業戦略、組織デザインにかかわる問題に関連して頻繁に言及されてきたが、今日ではこれらの問題への関心が薄れるにつれて引用されることが少なくなっている。しかし欧米においては今日でもさらに新たな問題の登場とともに頻繁に言及されている。本セッションでは、これらの理論を利用する最新の英文文献をリファーし、メンバー間での知識共有を図るために定期的に開催している研究会で取り上げた論文から、2000年以降にこのアプローチが提起した新たな問題を紹介する。