抄録
電子機器メーカーQ社は長年非破壊検査市場において放射線装置を販売している。その技術を応用し、Q社は10年以上前から加工市場への参入に向けた新製品開発に取組んできた。しかし、Q社にとって新規参入市場であるため、開発当初は顧客のニーズを十分に把握できなかった。また、ほとんどの顧客は放射線技術を取扱った経験がなかったため、開発は顧客との対話のもと行われた。顧客側技術開発のために必要な実験、装置開発を行う過程で、顧客のニーズが顕在化していき、開発は、まさにシーズとニーズの反復的学習過程といえるものであった。本報告では、この新製品開発・市場参入プロセスで得られた知見に関して先行研究を踏まえ考察を行う。