本研究は、複雑化してダイナミックに変容するマザー工場制の本質を捉えるために、ネットワーク構造が工場間の技術知識移転に与える影響を実証した。2012-2015年の4期に渡る日本の自動車工場のグローバル工場の生産車種を元に、ネットワーク分析と変量効果モデルによる分析をした。その結果、グローバルな製品開発・提供能力を持つ自律的な海外工場によるネットワーク形成戦略の場合に、多くのネットワーククリークに所属する工場ほど技術知識が移転されることが実証された。一方で、日本を頂点とするグランドマザー戦略は、工場が所属するネットワーククリーク数は技術知識移転に影響が無く、エリアマザー工場の統制の強さが示唆された。