抄録
「おいしさ」は,味覚のみでなく,他の感覚(嗅覚,視覚,触覚,聴覚)を含めた様々な感覚が複合的に評価されたものである.その中で視覚が果たす役割は特に大きく,「最初の味覚はたいてい視覚から生じる」と言われている.だが,この視覚の与える「おいしさ」に関わる科学的な研究は,ほとんど行われていないのが現状である.
本研究では,お弁当の写真を撮り被験者にSD法を用いたアンケートに答えさせ,お弁当に関する様々な印象に対する評価を得た.得られた結果を,共分散構造分析等の多変量解析を用いて分析し,お弁当を見たときに想起される様々な印象から「おいしい」と感じるまでのプロセスにあたる嗜好モデルを構築した.