抄録
SNSをはじめとした多くのWebサービスにおいては,ネットワーク外部性が大きな効果を有する.このような特性を有する市場では,市場の成長曲線がS字型となり,一定期間の初期投資が必要であるが,ひとたび市場が成長過程に入れば,シェアが固定化されると言われることが多い.
本研究では,簡素なモデルであるイジングモデルを用い,モデルが有する2次相転移という特性と,サービスが普及していく過程を表す成長曲線との関連性を調査した.その結果,相転移が生じる前後では,ネットワーク外部性により市場のシェアが固定化されるようなパラメータセットに対しても,成長曲線はS字型ではなく線形に近くなる場合があることが判明した.