抄録
本研究において,ドイツにおける森の幼稚園の子どもに対する保育者の根底にある配慮として,①「自律・自立の陶冶により非介入を中心とする保育スタンス」,②「危険因子となる遊びのリスクマネジメントとリスクに対する寛容な姿勢」,③「表現主義の助長による自立的創出スキルへの架け橋」の3 点が明らかとなった.
ドイツの保育者は,森の幼稚園と一般の幼稚園に限らず,非介入を中心とする保育スタンスがベースとなっており,その背景には共通する自律・自立の陶冶があることが示唆された.次に,危険因子となる遊びのリスクマネジメントの中で,森の幼稚園の固有性として,リスクに対する寛容な姿勢がみられた.最後に,森の幼稚園の保育者は認知能力に限定されない小学校教育を見据え,幼児期からの表現主義の助長をすることはその後の自立的創出スキルにつながるといった背景があることが明らかとなった.