2011 年 15 巻 1 号 p. 82-88
無線LANを用いた位置推定の研究は多く行われており,2.4GHz帯を用いた位置推定については,無線LANに限らず,IEEE802.15.4規格の無線センサネットワーク機器においても広く研究されている.IEEE802.15.4規格の無線センサネットワーク機器を用いた研究において,歩行者がある場合に位置推定精度が向上するという研究結果が発表されており,同様の周波数帯で通信を行う無線LANで構築された情報インフラ環境であっても同様の結果が起こるか検証を行った.その結果,先行研究を支持する結果とはならず,不可視APを位置推定に利用する影響に比べると歩行者の往来が誤差に及ぼす影響は小さいことが確認された.本研究結果は,先行研究を否定するものではなく,学内の無線LANインフラを用いた場合の位置推定誤差について知見を与えるものである.