2022 年 31 巻 1 号 p. 27-42
本研究の目的は、専従の教育責任者を確保できない中小規模病院の看護部長(以下、中小規模病院の看護部長)が担う院内教育提供に関わる役割と特徴を明確化し、院内教育に関する示唆を得ることである。看護部長15名を対象に、半構造化面接法によりデータを収集した。「Berelson B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析」を適用し、個別分析、全体分析を実施した。個別分析の結果345記録単位を抽出し、さらに全体分析の結果、看護部長が担う院内教育に関わる役割を表す【部下に自身の院内教育に関する意向を伝える】【病院幹部に院内教育の重要性を説明する】【教育に関わる人材の採用に向け適任者を探索する】など24カテゴリが形成された。Scott.W.Aの式によるカテゴリ分類の一致率は70%以上でありカテゴリが信頼性を確保していることを示した。24カテゴリを考察した結果、≪自ら研修計画の立案・実施・評価に携わり部下にもその専門的知識を教示する≫など6項目の特徴が明らかになった。また、看護部長の教育機会として、[院内教育に関するビジョンの明確化][院内研修プログラムの立案、実施、評価の知識、技術の修得]など5点を包含する研修の必要性が示唆された。