看護教育学研究
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原著
職務上の困難に起因し病院を退職した看護師の退職に至る経験
高橋 吏才子中山 登志子植田 満美子舟島 なをみ
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2022 年 31 巻 1 号 p. 43-56

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抄録

本研究の目的は、職務上の困難に起因し病院を退職した看護師の退職に至る経験を表す概念を創出し、その特徴を考察することを通して、退職した看護師を客観的に理解するための資料とすることである。病院を退職後3年未満の看護師13名に半構造化面接を実施し、退職を思案する6ヶ月前から退職に至るまでの経験をデータとして収集した。看護概念創出法を適用しデータを分析した結果、病院を退職した看護師の退職に至る経験を表す21概念を創出した。21概念とは、【臨床経験累積による円滑な職務遂行と惰性での職務遂行】【就業環境への適応困難による心身負担蓄積】【目標喪失による新たな目標模索と目標設定不可による退職決意】等である。考察の結果、病院を退職した看護師の退職に至る経験を表す21概念が、「看護師として職務を遂行していることを表す経験」「職務上の困難に直面していることを表す経験」「目標を喪失し職業継続意思に影響を及ぼす経験」等、8つの特徴を持つことを示唆した。本研究成果は、退職を思案する看護師が、自身の職務遂行状況や直面している問題を客観視し、問題への対処や自身の将来を方向づけるために活用可能である。また、退職を思案する看護師と協働する看護職が、退職を思案する看護師を理解し、必要な支援を検討するための資料となる。

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© 2022 日本看護教育学学会
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