2022 年 31 巻 1 号 p. 15-26
本研究の目的は、病院に就業するスタッフ看護師の学習ニードアセスメントツールを開発することである。次の3段階を経て開発した。①質的帰納的研究の成果に基づく質問項目の作成・尺度化、②尺度検討会とパイロットスタディによる内容的側面の検討、③1次・2次調査による尺度の信頼性・妥当性の検討である。
34項目からなる6段階リカート型尺度を作成し、調査に用いた。1次調査は、全国の病院に就業するスタッフ看護師1,554名に質問紙を郵送し、686名(回収率44.1%)から回答を得、有効回答440部を分析した。結果は、クロンバックα信頼性係数が .953であり、尺度の内的整合性を備えていることを示した。また、ロールモデルがいる者(t = 2.50, p = .01)、明確な目標のある者(t =2.26, p = .02)が、そうでない者よりも尺度総得点が有意に高く、妥当性の外的側面の証拠を備えていることを示した。さらに、主成分分析の結果、全質問項目の第1主成分への負荷量が,絶対値 .50以上,寄与率は40.7%であり、1次元性であると判断した。これは、構造的側面の証拠を備えていることを示す。加えて、2次調査は200名を対象に再テスト法を実施した。その結果、尺度の総得点の相関係数が .72(p < .001)であり、安定性を備えていることを示した。
以上より、開発したアセスメントツールは、高い信頼性と妥当性を備えていると判断した。