システム農学
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冷温帯林土壌圏の炭素動態
1 地形、植生と土壌分布
賈 書剛秋山 侃酒井 徹小泉 博
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2002 年 18 巻 1 号 p. 26-35

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抄録

森林生態系における炭素の動態は、地球温暖化にも関与するため、その定量的な解明が待たれている。本研究では、岐阜県高山市にある冷温帯落葉広葉樹の試験林1ヘクタールを、10m四方、100区に区分し、地形、植生、土壌、微気象などを調査し、土壌の分布とその発達過程を解析した。その結果、樹木が多く林床のササが少ない所に乾性褐色森林土BA、BBが発達し、樹木が少なくササが多い所に弱湿性褐色森林土BEが発達していた。また、林内のリター層の厚さ分布とリター減少率は、土壌A層の厚さと正の相関が認められた。土壌の発達は地形に支配される土壌水の動態と深く関連し、頂部と南斜面には適潤性褐色森林土BDが発達し、尾根と斜面間稜線に近い凸形縦断面の斜面及び急斜面や西斜面は、乾燥し表面浸食を受けるため、乾性褐色森林土BA・BBとなる。ここではA層・全土層とも薄い。反対に谷底部には土層の厚い弱湿性褐色森林土BEが発達していた。本研究によって,試験林内における土壌型の面的分布や各土層の厚さが明らかになり、土壌圏の炭素賦存量推定のための基礎的知見が得られた。

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