抄録
ほ場整備事業においては換地処分が行なわれるが、その場合、担い手への農地の面的集積が強く求められている。しかし換地による農地の面的集積は、耕作者にはメリットがあっても貸し手にはメリットが無く、貸し手の同意を得にくいことから、それを実現することは極めて困難になっている。本報告はこの膠着状態を打破するため、換地での面的集積を促進・阻害する事項・事象を借り手・貸し手の2者について取り上げ、面的集積に向けてのステージとして、圃場整備事業開始、大区画化、所有地の団地化、利用権設定地の面的集積の4段階から分析した。そして面的集積は、貸し手のデメリットを解消することで促進されるという仮説を導き、この仮説の現実の換地への適用性について、面的集積を実施した担当者に評価して貰った。そしてその評価結果に基づき、面的集積の促進手段を提言している。