オープントップチャンバー法は従来最も信頼度の高いとされる通気式密閉法の欠点を改良した新しい土壌呼吸測定法である。しかし、本法の土壌呼吸測定に関わる問題点については十分な検討がなされていない。そこで、チャンバー内の環境改変と測定に悪影響を与える環境条件について検討するための試験研究を行った。草本群落内に設置したオープントップチャンバーシステムにより測定された土壌呼吸は日中に高く、夜間に低いという日変化を示した。この時間変化の94%は温度依存性によって説明できた。このことから、オープントップチャンバー法は土壌呼吸を十分な精度で測定できることが明らかとなったが、同時にチャンバー内部の地温の低下(パラソル効果)や強風に弱い可能性を示唆するデータも得られた。今後は、これらの現象が普遍的なものであるかを確認する試験を行い、必要に応じて測定システムを改良していくことが必要と考えられた。