2004 年 20 巻 1 号 p. 86-96
放置された竹林の増加は、景観の悪化を招き、森林資源や農耕地への侵食から、やがて地域または流域規模の環境問題に波及することも懸念されている。本論文では、高解像度衛星IKONOS データ、中解像度衛星Landsat ETM+データ、およびこれら両データに基づきIHS変換により作成した複合画像のそれぞれに対して、最尤分類法およびツリー決定法を用いて岐阜市周辺(14,280 ha)における竹林の抽出を行い、現地調査結果に基づき分類の精度を評価した。その結果、衛星データにより竹林の分布状況を把握できることが確認された。異なる5時期のLandsat ETM+データの中では、3月のデータによる竹林の分類精度が最も良いこと(61.9%)が明らかとなった。さらに、IKONOS、Landsat ETM+の単独データより、両者の複合画像を用いた場合の竹林分類精度は高く84.9%に達した。この結果を用いて、対象域における竹林面積は89.6 ha と推定した。