2002(平成14)年度より小学校に導入された「総合的な学習の時間」の中で行われている環境教育を支援するためのシステムの開発を行った。このシステムでは、野外での自然観察と、教室内での学習を支援することを目的としている。開発したシステムでは、野外での自然観察で収集・作成した観察記録やデジタルカメラの画像に観察した場所の位置情報を付加することにより、Geograhpic Information System(GIS)としての機能を与えている。このシステムは、1)野外での自然観察を促すために、Gloval Positioning System(GPS)と携帯端末(PDA)を用いて特定の場所で情報を提供することと(教材提示システム)、学習者が興味をもった対象物について、その場で観察記録を簡単に作成・保存する機能(観察記録収集システム)、2)野外観察で作成した観察記録やデジタルカメラの画像を、教室内でクラス全員が自由に閲覧し、情報の共有を図る機能(情報共有システム)、3)位置情報付の観察記録やデジタルカメラ画像を素材として、児童がHTML文書を作成するための機能(教材作成システム)、などを備えている。このシステムの特徴は、1)自然観察を行う者が、自発的に位置情報付きで自由に観察記録を作成することができること、2)作成した観察記録や撮影した画像にメタ情報として位置情報が付加されているのでGISデータとしてそのまま利用できること、3)自然観察会等において、過去に収集・作成された情報を特定の場所でPDAに提示することができ、学習者への対象物に対する関心の惹起ならびに対象物への観察を促すことなどが挙げられる。