抄録
本稿では、中南米のホンジェラスのコマヤグア地域を対象にして、リモートセンシング、現地実態調査データを活用し、1987から2001年の14年間における農業的土地利用の変化について解析した。その際、ホンジェラスでは土地利用の変化を把握するための統計データが不足しているため、Landsat TM及びLandsat ETM+のデータを利用して、1987、1994、2001年の3時期のデータにより14年間の変化を画像解析した。そして、検出された土地利用変化に着目しながら、農家や農業関係機関を対象にした現地実態調査を実施し、土地利用変化の要因解析を行った。結果によると、1987から2001年の期間中に、コマヤグア地域では農業政策の転換等により、農耕地が拡大し、トウモロコシや豆類、牧草等の自給的作物から野菜を中心とした商品作物への作付転換が進んだ。同時に、他地域から流入してきた小作農民による、焼畑農業による森林伐採や耕作放棄地が増大し、社会問題となってきた。農耕地では、中小規模階層農家における輸出用農産物を基幹にした土地利用高度化の促進、周辺部では森林破壊や耕作放棄地の拡大防止のための資源管理、環境保全に重点をおいた政策の強化が必要とされている。