Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
総説
三次元ヒト骨格筋組織の筋力を指標にしたL-アンセリンの効能評価
永井 研迅 本多 裕之清水 一憲
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 20 巻 p. 23-28

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抄録

超高齢社会のわが国では,サルコペニアなど骨格筋の機能低下に伴う筋力低下が問題になっている.こうした背景から,筋力低下を予防する食品成分の探索が求められている.一般に,有効性成分の探索プロセスでは,培養細胞を用いた効能評価試験が行われる.筋力低下を予防する成分の評価には,筋力を指標にした効能評価を行うことが望ましいが,通常の二次元的な培養皿上で培養した筋細胞では筋力を測定することは困難である.一方で近年,生体模倣システム(Microphysiological System: MPS)の研究が盛んになっており,筆者らも独自のマイクロデバイスで培養した三次元骨格筋組織を用いて筋力を指標とした効能評価を行ってきた.さらに,ヒトへの応用を考慮すると,げっ歯類由来細胞ではなくヒト由来細胞での評価が有用であるため,初代ヒト骨格筋細胞を用いた三次元骨格筋組織の評価系を構築した.本評価系は骨格筋機能の維持・向上に資する食品成分の効能評価を目的とした研究応用に期待ができる.本稿では,独自のマイクロデバイスを用いた三次元培養系について解説し,初代ヒト骨格筋細胞を用いた三次元骨格筋組織において筋力向上効果が確認されたL-アンセリンに関する研究を紹介する.

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