システム農学
招待論文
米軍写真を用いた終戦直後の自然景観の定量的再現
長谷川 裕之
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23 巻 (2007) 1 号 p. 21-31

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抄録

本研究では、GIS 技術を利用した過去の景観の忠実な再現を試みた。景観再現の資料としては、米軍写真、東京都地形図、国土地理院地形図を利用した。はじめにそれぞれの資料の位置精度を明らかにし、グリッドDEMを作成した。DEM を地形図から作成した場合、河川堤防や小さな起伏は表現できず、米軍写真から作成した場合最も精密なDEM が得られることが明らかになった。しかし米軍写真からのDEM 作成は最も人員・費用のかかる方法であり、必要とされるDEM の精度・正確度を勘案した上でDEM 作成手法を決定することが望ましいと考えられる。次に、オルソ画像の作成方法として空中三角測量成果を利用した厳密な手法と幾何補正のみによる簡易な手法の2通りの方法を試み、それぞれの方法により作成したデータの位置精度を明らかにした。この結果、対象地域の起伏が小さかったため、簡易な手法で作成してもそれほど大きな位置ずれは見られなかった。最後に、オルソ画像を彩色したカラー化オルソ画像とグリッド DEM を組み合わせ、鳥瞰図を作成した。この結果、遠方から俯瞰した場合、どの鳥瞰図でも違いはあまり明確でなかった。しかし、近距離からの眺めを視覚化した場合、グリッドDEM の情報源の違いにより鳥瞰図の良否に違いが生じた。米軍写真の空中三角測量により作成したDEM と厳密手法によりオルソ化したカラー化オルソ画像を組み合わせた場合には、地形の凹凸とオルソ画像上の地形境界が正確に重なり合う。このため、DEM による地形表現とオルソ画像による現実感があいまって実際の鳥瞰写真に近い視覚化が可能であった。ただし、位置精度が高いデータほど、作業時間・費用がかかるため、どのような目的で景観再現をするのか考慮した上でデータ作成手法を選択する必要がある。

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© 2007 システム農学会
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