2007 年 23 巻 2 号 p. 127-134
衛星データで、日本と世界の農業を短波長赤外カラー画像で把握する方法を検討した。水田は、湛水されることが最大の特色である。イネが小さい間は、ほぼ水面を観測することとなり、黒から青に見える。水域では、年中この状態であるが、水田は稲の生長に伴い、植生が増えるので緑が増加する。稲が稔り刈り取りとなると、稲わらを観測することになり明るい色調になる。畑作は輪作体系が取られ、作物が生育している所と裸地のところが混じった模様となる。また、畑と草地が混在する場合も多く、多時期の画像を見て、ずっと植生があるところが草地と考えられる。草地は短波長赤外カラー合成画像で、明るい緑色または黄緑色に見える。これは、ほぼ広葉樹林地と同じであり、区別するのはこの短波長赤外カラー合成画像では難しい。しかしながら、L バンドの合成開口レーダ(SAR)では、樹林地の後方散乱係数が高いので、短波長赤外カラー合成画像とSAR 画像の両者を使うことで草地の抽出が出来る。