システム農学
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招待論文
リモートセンシング・データの特徴
-農地観測からシステム科学まで-
石塚 直樹安田 嘉純
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2007 年 23 巻 2 号 p. 93-101

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抄録

農家は作物の生産量を高め、収入を高めることを考えている。そのため、施肥の最適化、病虫害の発生や予防、土壌水分の最適化と灌漑、気象条件、管理コストなどが問題となる。また植物の分布は、さまざまな環境条件によって支配され、強く依存している。環境条件の変動は、しばしば“環境ストレス”と呼ばれ、環境ストレスは、病虫害、栄養障害、環境汚染など様々な障害の源となる。環境変化に対する農作物の生理機能の変化を非接触で容易に測定できれば、作物の生育診断や管理、収量の予測、環境のモニタリングなどに利用できるようになる。人間の視覚の代行をする観測機器を用いて、物体や現象を非接触、非破壊で観察または測定することをリモートセンシングとよんでいる。リモートセンシングは物体を空間的、または、分光的、時間的尺度で測定することを可能としている。特に、衛星リモートセンシングは一貫した測定方法で地球全体を観察できることが特徴である。リモートセンシングは農業の方法を変える可能性を持っていると期待され、早くから利用が考えられたが実利用は思うように進んでいない。しかし、リモートセンシングは様々な時間・空間スケールで観測が可能だからこそ、農業のみならずシステム科学的にも新しい「発見」できる可能性を持っている。

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© 2007 システム農学会
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