システム農学
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研究論文
ALOS-2 PALSAR-2データを用いた泥炭地における小規模農家オイルパーム園の生育形状把握
‐ インドネシア,リアウ州における事例研究 ‐
リッサ ファジリ ヤユスマン長澤 良太
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2017 年 33 巻 2 号 p. 47-56

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抄録

泥炭地におけるオイルパーム栽培には、地下水位の管理や樹木の変形を最小限にするために泥炭土壌の圧密、排水管理に関する特殊な対処法が必要とされる。しかしながら、零細な小規模農家のオイルパーム園では往々にしてその適用が困難であり、結果として樹木の変形や転倒が多発している。そこで、本研究ではALOS-2 PALSAR-2の全偏波画像データを用いてインドネシア、リアウ州の泥炭地に展開する小規模農家によるオイルパーム園を対象とし樹木の生育形状を標準、変形、再植樹の3つのタイプに区分・分類する手法の開発を試みた。テクスチュアー解析を適用して、SAR画像の後方散乱量、レーダ植生指標(RVI)、偏波合成から得られたパラメータ値の個々およびその組み合わせを検討した。その結果、すべてのテクスチュアー特性においてMEAN値を用いることで最適な分類ができ、なかでも偏波パラメータ値はオイルパーム樹の変形を捉えるのに有効であることが分かった。最適な組み合わせは、7x7のウィンドウサイズを用いた15バンドのSARパラメータのMEAN値であり、3つのケーススタディエリアでそれぞれ総合分類精度68.69% (カッパー値 0.60)、70.18% (0.55)、 72.75% (0.60)の精度評価値が得られた。これにより、単時期のPALSAR-2を用いることでオイルパーム樹の生育形状を把握、分類図化する手法が提示できたと考える。

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© 2017 システム農学会
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