2018 年 34 巻 2 号 p. 49-54
日本の農業における作物の成分分析は、専門機関での破壊検査による方法が多い。しかし破壊検査は検査回数の増加に伴い、コストの増大や収量低下を招く。そのため非破壊での成分分析手法の確立が必要となる。本研究ではハイパースペクトルデータを用いた、非破壊での結球レタスの成分分析手法について検討した。具体的にはハイパースペクトルカメラから得られたスペクトルデータと、破壊検査で得られた含有無機成分の2つを、開発したPythonプログラムを用いて簡易に相関分析を行う手法について検討した。本手法により、リン、カルシウム、マグネシウムにおいて、ハイパースペクトルデータと相関の高い波長帯があることを確認した。ただし、カルシウムとマグネシウムの成分データ間には高い相関があるため、単波長反射強度と単相関係数からの成分濃度の推定には限界がある。今後の課題として、正規化スペクトル指数(NDSI)を用いた有効な2バンドの組み合わせの検証などが挙げられる。