2016年4月14日と4月16日に震度7を観測した平成28年度熊本地震(以降、熊本地震)は、大きな被害をもたらした。地震による被災農地圃場では、被害状況により復旧に向けた対策が異なってくる。このため、熊本地震が農地の地表に及ぼした影響について、ドローンを用いて調査した。ドローン空撮画像にSfM・MVS処理を行うことで3次元モデルを作成し、国土地理院の地理院地図から取得した座標値と地上における簡易測量結果を組み合わせることで、DSMを作成した。その結果、圃場の不陸量(圃場の平均標高値からの差)が計測・評価可能であることを明らかにした。ドローンで計測した不陸量は、公共測量の承認を受けた航空機LiDAR測量と比較したところ、有意な差が認められない精度を有していた。ドローンによる不陸計測の利点は、本研究で使用した機材においては、計測コストが航空機LiDAR測量の約1/3であり、加えて、迅速に機動的な観測が可能な点である。さらに、ドローン観測により確認された規則的な地表面の不陸について素因を探った結果、不陸の凹部が1962年撮影の航空写真の水路部分と一致しており、熊本地震により圃場基盤整備前の水路の埋め立て部分が沈下したことを明らかにした。