システム農学
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技術論文
RTK-UAV測量において3次元モデルのDomingを低減する方法
-GCPを使用せずにcmレベルの精度を実現する撮影・データ処理-
小花和 宏之早川 裕弌坂上 清一
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2021 年 37 巻 2 号 p. 29-38

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抄録

空撮写真から3次元モデルを作成する際に、Domingと呼ばれるモデル全体の歪みが発生することが知られており、計測精度の低下が問題となっている。そこで本稿では、RTK(real time kinematic)-GNSS(global navigation satellite system)を搭載したUAV(unmanned aerial vehicle)の使用、カメラ角度、データ処理方法、およびGCP(ground control point)の配置と、Doming発生程度および鉛直精度との関係を検討した。その結果、カメラの角度を傾けるほどDomingおよび鉛直誤差低減効果が大きく、カメラ位置精度をRTKに最適化することで、GCPを使用しなくてもDomingの発生をほぼ完全に抑えることが可能であり、さらにレンズ歪みモデルのRTK最適化により鉛直誤差も2 cm以内に低減可能なことが示された。なお、慣行の非RTK-UAVにGCPを組み合わせる方法でも、計測範囲中心にGCPを配置することで、極めて高いDomingおよび鉛直誤差低減効果が得られることが確認された。以上より、省力性や運用効率等を考慮した場合、RTK-UAVの使用、カメラ角度-70度、写真測量ソフトウェア(Agisoft Metashape)上の処理における「XMPカメラ位置精度の利用on」、「カメラアライメントの追加補正on」、GCP不使用の組み合わせが最適だと考えられた。

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