抄録
前報では, 総設備費用最小化とシステム内パレット数最小化の2目的最適設計問題を定式化し, 効率的な非劣解生成アルゴリズムを提案した.そこでは, 得られた非劣解集合の中から選好解を求める際に, FMSの所要生産率や設備費用係数は所与の定数と見なしていた.しかし, 所要生産率は設備設計の段階から変更される可能性があり, 費用係数については見積誤差が避けられない.したがって, 本報では, 生成された非劣解に対して所要生産率と設備費用係数に関する感度を効率的に分析する方法を提案する.所要生産率については, 感度分析の範囲が狭い場合に対して「局所的感度分析法」を, 広い場合に対して「包括的感度分析法」を示す.設備費用係数については非劣解であることが保証される「非劣解保証範囲」を求める方法を示す.そして, これらの感度分析を考慮しながら, 非劣解集合の中から選好解を選択する対話型設計システムを開発し, 数値例を示す.