システム農学
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多段階線形計画法による育林投資の最適化
黒川 泰亭
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ジャーナル オープンアクセス

1988 年 4 巻 1 号 p. 74-86

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抄録

育林投資を実行する主体が行うべき最も重要な経営上の意志決定は、どの林分をいつ伐採し、どの林分を残すかを判断し林分の成熟期を決定することである。林分の経済的成熟期の決定については、伝統的には林業較利学の中で取り扱われてきた。林業較利学は、計算の厳密さの点では優れているが、静態的計算モデルを前提とするため実践性が乏しいという欠点を持っている。この問題に対して、線形計画法の1種である多段階線形計画法が有効に利用できる。本稿では、まず育林投資における計算モデルを明らかにし、次にこの計算モデルをもとに育林投資の最適計画の策定に関する多段階線形計画法の適用の方法と適用結果について検討した。その結果、林分の経済的成熟期の決定問題に対して有効な策が提示できることが明らかにされた。この方法により、育林投資の最適化における林分の長期的取り扱いが具体的に把握でき、育林経営に関する意志決定に対して有効な情報が提供できる。

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© 1988 システム農学会
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